

朔太郎くんの先生の玉藻です。

先生、薬膳では生薬をよく使いますが、ハーブと何が違うんでしょうか?

国際薬膳師なのに違いが分からないんですか?

い、いやぁ……ハーブについては習ってないので……。

分からない事があったら調べる癖を付けなければ成長しませんよ。

わ、分かりました……。

今回は私が生薬とハーブの違いを解説してあげます。
次からは自分で調べるんですよ。

(やっぱ先生ってチョロいな!)

心の声、聞こえてますからね。
文字になってますし。

ヒィッ!
この記事の概要

まずはこの記事の概要からどうぞ!
- 生薬とハーブの違いは西洋由来か、東洋由来かによる
- ハーブは単品で使われる事が多い
- 生薬は複数組み合わせて使う事が多い
- 同じ素材を違う名前で呼んでいる事も多い
概要が分かったところで早速本題に入りましょう!
生薬とハーブの違いはどこにあるの?

- 生薬は複数の素材、ハーブは1つの素材で使われやすい
- 生薬は中医学由来、ハーブは西洋由来
- 生薬には鉱石、動物が含まれ、ハーブは植物由来のみ
この3つの違いが大きく異なっています。
生薬とハーブに明確な違いはほとんどありません。
強いてあげるとすれば生薬には鉱物が含まれ、ハーブには植物しか含まれないという点が違いになっていますね。
しかし、使い方には大きな違いがあります。
生薬は複数組み合わせて使う事が多く、ハーブは単品で使う事が多いです。

なるほど!
素材としては大きな違いがなくても、使い方に大きな違いがありますね!
素材だけを見ると同じものを違う名前で呼んでいるくらい、ハーブと生薬は重なっているんです。
例えばターメリックはスパイス、ハーブに分類される事があります。
ターメリックは生薬として見ると鬱金(ウコン)という名前で使われているんです。
同じものなのに呼び方が違うのはややこしいですよね。
同じものでも呼び名が違うのは西洋由来、東洋由来かの違いによります。
ハーブと生薬が持っている歴史が違うという事なんですよ。
ですので、生薬とハーブの違いを掘り下げるためには双方の歴史を確認しなければなりません。
まずは西洋由来の薬草がハーブ、中国由来だと生薬という違いがあると覚えていてください。
さて、ではハーブの歴史から確認していきましょう。
生薬とハーブの違い ハーブの歴史 古代

ミイラがカレー臭かった説
現在、西洋で使われているハーブの大本はなんと古代エジプト文明です。
時期で言うと紀元前5000年頃と言われています。
薬草の仕様について記述などが残されている事も分かっていますよ。
特に医療用として使われていたものはペパーミント、バジル、サフランです。
またミイラを作成する際の防腐剤としてシナモン、クミンなどが使われていた事も分かっているんです。

そう考えるとミイラって結構スパイシーな匂いだったんだね!
そして、古代エジプトで生まれたハーブの知識は次に、古代ギリシアへと伝承されました。
ソクラテスがいたとされる古代ギリシアで、入浴剤等にハーブが使われていたんです。
さらにこの時代からは料理や化粧などにもハーブが使用されるようになりました。
古代ローマ帝国がヨーロッパを席巻するようになると、ハーブの知識も古代ローマの広がりと共に欧州へ伝わったのです。
ハーブが急激に広まったのは、修道士が兵隊の傷の治療にハーブを使用し始めたからだと言われています。
生薬とハーブの違い ハーブの歴史 中世以降

中世に入るとハーブの使われ方に変化が出てきます。
中世でハーブは貴族たちの嗜好品として利用されるようになりました。
敷地内に豪華なハーブ園を持ち、そこから園芸技術も高まったのです。
貴族たちは新種のハーブを求め、中東やアジアを目指すようになります。

新しいハーブがあると他の貴族たちよりも格上の気分になれたんだね!
世界史でも有名な大航海時代が訪れると、世界中のハーブがヨーロッパに集まりました。
その後、ハーブは庶民の間でも使われるようになり、フランスでは香水として使われる場面も出て来たんです。
例えば太陽王と呼ばれ君臨していたフランスのルイ14世は、香水で洗ったシャツを着ていたのだとか。
生薬とハーブの違い ハーブの歴史 近代以降

17世紀にイギリスで起きた清教徒革命の流れから、アメリカ大陸に移住したヨーロッパ人が大勢いまいた。
このヨーロッパ人たちがアメリカ大陸にハーブを持ち込み、アメリカにもハーブの歴史が伝わっていく事になるのです。
しかし、ハーブ自体はその後、長い期間忘れ去られてしまいます。
現代医療の発達に伴って、その薬効が注目されなくなってしまいました。
その後、20世紀にはいると今度は化学薬品などによる副作用が社会問題化します。
そこで、原点回帰という事でハーブの薬効がまた注目されるようになった、という事なんですね。
こうした欧州の歴史に由来している薬草の使い方をする場合、その素材をハーブと呼びます。
例えば香水やハーブティーとして使う場合などが当てはまりますね。

へー! ハーブの歴史って全然知らなかったけど、知ってみるとめちゃくちゃ面白いですね!

そうなんです。
では、次に生薬の歴史を見ていきましょうか。
生薬とハーブの違い 生薬の歴史

湯液(とうえき)ってすごい有名だよ!

少なくとも紀元前1700年頃には商(現在の中国)で生薬が使われていた事が分かっています。
この時代、商では湯液(とうえき)という生薬を煎じ、薬効を出すスープのようなものが作られていました。
その後、生薬に対する観察、分析が時代の経過と共に発達していきます。
その結果として、様々な書籍や理論等が生み出されました。
例えば陰陽五行や整体観念など中医学独特の理論体系が構築されたんです。
中医学の理論的な部分にご関心がある方はこちらの記事もどうぞ。

こうして中医学の理論が完成し、それに基づいて使われる薬草、鉱物等を生薬と言います。
だからこそ、生薬は複数の素材を混ぜ合わせて使う事が多いのです。

という事は、西洋での歴史的な使い方と、東洋での歴史的な使い方という形でハーブと生薬の呼び方が異なっているんですね!

そういう事になります。

うーん……分かるような分からないような。

同じものを違う名前で呼んでいる場合もあるので、確かにややこしいですね。

もう少し分かりやすい区別があると助かるんですけど……。

漢方薬とハーブの違いから判断すると分かりやすいですよ。
漢方薬とハーブの違いは?
基本的に漢方薬は複数の生薬を混ぜた複合薬、ハーブは単品で使う事が多いという違いがあります。
漢方薬とハーブの違いであれば、こうした明確な区別がありますので参考にしてください。
身近な例で言えばハーブティーと薬膳茶の違いでもあります。
ハーブティーは例えばカモミール、ローズヒップ、ミント等々単品で煮出すものが多いです。
薬膳茶では逆に1つだけの素材を使うという方法はめったに使いません。
ほとんどの場合で様々な生薬を混ぜて、お茶として出しています。
勉強をしているという状態では生薬とハーブの違いが分かり辛い部分もありますね。
しかし、実際に生薬やハーブを使ってみると「あ、これはハーブ的な使い方だな!」とか「薬膳チックな使い方だなぁ」と思う場面が結構ありますよ。
カフェで出されるお茶とお茶請けを見て「お茶はハーブだけど、組み合わせは薬膳だな……」なんてこともあります。
まとめ

今回の記事をまとめていきましょう。
- 生薬とハーブの違いは西洋由来か、東洋由来かによる
- ハーブは単品で使われる事が多い
- 生薬は複数組み合わせて使う事が多い
- 同じ素材を違う名前で呼んでいる事も多い

正直な話、呼び方についてそんなにこだわらなくても良いかな? という感じがします!

そうですね。
実際にうまく使えるかどうかが重要ですから。

薬膳の勉強をしていると自然に呼び方が食薬、中薬になっていくしね……(笑)

気になっている人が多いようなので解説しましたが、ハーブと生薬の違いは絶対に知っておかなければならない事ではありません。

こういう話が好きな人との雑談に織り交ぜると喜ばれるかもね!
最後までご覧くださり、ありがとうございました!
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