

朔太郎君の先生の玉藻です。

先生、中医学の話をしていると、よく東洋医学とごっちゃになっている人がいませんか?

細かい違いは専門家くらいしか気にしないので、そのままで良いと思いますよ。

そうなんですけどねー!
やっぱり何となく気になってしまいまして!

そうですか。
東洋医学とは簡単に言うと何なのか、説明をどこかでしておいた方が良いかもしれませんね。

そうですよね!
説明をしておけば分かってもらいやすいですしね!

では、今回は朔太郎くんが解説をしてみてください。
私は気になる部分があったら質問しますので。

(一番楽なポジションを取られた……)
この記事の概要

まずは記事の概要からどうぞー!
- 東洋医学とは東洋発祥の伝統医学を総称したもの!
- 中医学は中国発祥
- 漢方、鍼灸医学は日本発祥
- 韓医学は韓国発祥
- アーユルヴェーダはインド、スリランカ発祥
- ユナニ医学は古代ギリシャ発祥の西アジアにおける伝統医学
- タイ方医学はタイ発祥
- 伝統医学は全体観(環境や季節など全体を考慮する医学)で成り立っている
さて、それでは本題に入っていきましょう!
東洋医学とは簡単に言うと総称!

東洋医学とは東洋発祥の伝統的な医学の総称です!
中医学だけの事を指す言葉ではありません。
東洋医学の中に含まれる代表的なものを簡単にまとめてみましょう。
- 中医学(中国発祥)
- 漢方医学(日本発祥)
- 韓医学(朝鮮半島発祥)
- アーユルヴェーダ(インド発祥)
- タイ方医学(タイ発祥)
- ユナニ医学(古代ギリシャ発祥で西アジア伝統医学)
代表的なものをざっと挙げるだけでもこれだけの種類があります。
東洋医学という場合にはこうした複数の医学の総称です。
中医学や漢方医学はその一部と考えるのが妥当なんですよね。

細かいと感じてしまうのも当然なので日常的にはそれほど気にしないでも良いよ!
さて、東洋医学という言葉の意味が分かったところで、1つずつ掘り下げてみましょう!
東洋医学とは? 1 中医学

中医学については既に記事を書いてあるから、そちらを参考にしてみてね!

東洋医学とは? 2 漢方医学

日本独自の発展を遂げた漢方、鍼灸医学
漢方医学とは中医学を基にして生まれた漢方薬、鍼灸、指圧等を含む日本の伝統医学の事です。
細かい分類でいうと古典医学所を基にした薬物療法を漢方医学、経絡等を刺激する物理療法を鍼灸医学と言います。
漢方医学が生まれた経緯を簡単にまとめてみましょう。
- 5,6世紀頃、日本に中国の伝統医学が伝承される
- その後、少しずつ研究が深まり、16世紀以降活発な貿易によって普及
- 流派がいくつか別れ、現在に至る
漢方医学の大本にあるのは中医学となります。
漢方医学では生薬の選別と調合を行い、漢方薬を作り出します。
同じ東アジアでも韓国や中国では、伝統医学が国家資格がありますが、日本には国家資格が存在しません。
あくまでも民間療法の枠内という事ですね。
個人的にはそれがとても惜しい事だと感じています。
国家資格にしておけば漢方医として活躍している人はもっと多かったでしょう。
さて、では次に同じ東アジアの韓医学について確認していきます。
東洋医学とは? 3 韓医学
韓医学は朝鮮三国時代(紀元前1世紀~7世紀頃)から朝鮮半島で発展してきた伝統医学の事です。

韓医学の基になっているのも中医学なんだよ!
やっぱり中国って昔はすごい国だったんだねー!
では、韓医学についてこれまでの簡単な流れを見てみます。
- 朝鮮三国時代(紀元前1世紀~7世紀頃)から朝鮮半島で中医学が学ばれ、発達していく
- 李氏朝鮮時代、韓医学の医師は東医と呼ばれ、この時代に多くの韓医学書が生まれる
- 現在、韓国では伝統医療の専門家を韓医師と呼び、国家資格化されている
基本的には中医学に依拠しているので相当似ているものだと考えて良いでしょう。
しかし、日本、中国と大きく異なる点があります。
韓医学では鍼灸がとても重要視されているんです。

確かに韓国の伝統医療って聞くと鍼灸のイメージが強いね!
韓医学では「一鍼二灸三薬」と言われるくらい鍼灸の優先順位が高くなっています。
さらに生薬として用いるものに動物性のものが多いのも特徴だと言えるでしょう。
東アジアの伝統医学を確認した後は、インドの伝統医学を見ていきますよ。
東洋医学とは? 4 アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダとはインド、スリランカ発祥の伝統医学であり、世界三大医学の1つとして認知されています。
サンスクリット語のアーユス(生命)とヴェーダ(科学)という2つの言葉から生まれた伝統医学、哲学なんですよね。
まずは発症からこれまでの経緯を見ていきましょう。
- 最古の文献は紀元前1200年頃、古代インドで編纂されたもの
- 基本的に口伝によって受け継がれたので正確な起源は分からない
- 20世紀、アメリカで火が点き人気爆発
アーユルヴェーダは心、体、行動、環境など全てを含めたもののバランスを取る事によって、健康を維持するインドの伝統医学です。
全体観という医学の種類であり、中医学もこれに当てはまりますね。
体のバランスを取る際に重要とされているものは5つあります。
風、熱や粘液、ドーシャと呼ばれる3つの体液のバランスを整える事を眼目としているんですね。
非常に奥が深い伝統医学であり、ヨガなどもアーユルヴェーダの概念に基づいています。

アーユルヴェーダのような全体観の医学は哲学にも深く関係します。
中医学も同じなので、単なる医学とだけ割り切れない幅広さがるのです。
東洋医学とは? 5 ユナニ医学

ユナニ医学の発祥は古代ギリシャ

ユナニ医学は古代ギリシャ発祥で、西アジアにおけるイスラム文化圏の伝統医学です。
アーユルヴェーダ、中医学と並び世界三大医学の1つとされています。
まずは簡単にユナニ医学の歴史を振り返りましょう。
- 古代ギリシャで生まれた医学を起源に持つ医学で正確な発祥時期は不明
- 西アジアにおけるイスラム文化圏で発展してきた医学
- 16世紀には欧州の大学でユナニ医学が教えられていた事もある
- 19世紀頃までは西洋医学の発展に負けず、治療に用いられる事があった
ユナニというのはペルシャ語で「ギリシャの」「ギリシャを源にするもの」という意味を持っています。
これによってユナニ医学が古代ギリシャから生まれたものだと容易に分かるわけですね。
その特徴は自然治癒と病気の予防を重視する点にあります。
病は生活習慣と環境に原因があるという古代ギリシャ医学の特徴を受け継いでいるんです。
ユナニ医学では火、空気、水、土を四大元素とし、そのバランスを取る事を目的とします。
ちなみにこの四大元素は古代ギリシャの哲学者アリストテレスが提唱したものです。
世界はこの火、空気、水、土によって出来ているという説ですね。
例えば火は上に燃え上がるので、上に上がる力は火の属性、というような分類がされています。

伝統医学と哲学は古来から絡み合って成長してきました。
現代のように別々に切り分けられるものではなかったのです。
さて、最後にタイの伝統医学を見てみましょう。
東洋医学とは? 6 タイ方医学

タイ方医学はタイの伝統医学であり、インドの伝統医学アーユルヴェーダ、中医学の影響を強く受けています。
例の如く、その歴史から振り返りましょう。
- 紀元前2500年ほど前にタイ方医学が発祥
- 仏教の伝来と同時に伝わって来た医学がタイで独自に進化した
- アーユルヴェーダ、中医学が混ざり合いタイ方医学が完成
- 現在でも伝統医学として伝わっている
タイ方医学はタイという地理的条件からアーユルヴェーダ、中医学の影響を非常に強く受けて発展しました。
タイ方医学では宇宙の構成要素を4つに分類しています。
土、水、風、火の4つです。
この4つの要素が宇宙と人間を構成していると考えるのが、タイ方医学の特徴でもあります。
実はタイ古式マッサージもタイの伝統医学に基づいているものなんです。
そして、タイの伝統医学でもやはり環境や季節などとのバランスを整えようとします。
伝統医学では人間だけを見るのではなく、自然の一部としての人間を観察するのが当たり前だったのです。
全体観を持つ医学はそうした意味で社会学的、心理学的、医学的、哲学的であるという総合的な学問だと言えます。
まとめ

今回の記事をまとめていくよー!
- 東洋医学とは東洋発祥の伝統医学を総称したもの!
- 中医学は中国発祥
- 漢方、鍼灸医学は日本発祥
- 韓医学は韓国発祥
- アーユルヴェーダはインド、スリランカ発祥
- ユナニ医学は古代ギリシャ発祥の西アジアにおける伝統医学
- タイ方医学はタイ発祥
- 伝統医学は全体観(環境や季節など全体を考慮する医学)で成り立っている

どうですか、先生!
結構分かりやすかったんじゃないでしょうか!

そうですね。
朔太郎くんにしてはよく出来たのではないでしょうか。

(いつも素直に褒めてくれないよな、この狐は……)

文字になってるので心の声が伝わっていますよ、朔太郎くん。

!!
最後までご覧くださり、ありがとうございました!!
コメント